2022年は日本ドローン業界にとって激動の年でした。
ここではドローンユーザーの方々が最も気になっている「ドローンの免許化」「既存ドローンユーザーへの影響」をわかりやすく解説します。
文字数は多くなりましたが、プロや専門家でなくとも理解しやすいようまとめました。
一連の航空法改正の背景と目的
2022年6月 航空法対象ドローンの拡大、リモートID義務化、登録の義務化
2022年12月 レベル4飛行の実現、ライセンス制度新設、DIPS/FISSの統合
いろいろと厳正な管理ルールが追加されました。
各改正は大きく分類すると、「レベル4飛行(有人地帯での物資空輸等)の実現」と付随的なものと捉えることができます。言い換えれば、レベル4飛行とおまけです。
(かなりざっくりと伝えています。国のロードマップ等を読んで感じた筆者のイメージです。)
2022年12月5日航空法改正点(抜粋)
無人航空機ポータルサイト(国土交通省リンク)
カテゴリー分けとレベル分け
まず、カテゴリー別について把握しましょう。レベル4飛行の位置づけに伴い、飛行方法はカテゴリー1、2A、2B、3の4種類に分類されます。
カテゴリー3
航空法改正の目玉であるレベル4飛行(目視外、補助者なし、有人地帯飛行)。
「特定飛行のうち、無人航空機の飛行経路下において立入管理措置を講じないで行う飛行。(=第三者の上空で特定飛行を行う)」
カテゴリー2
カテゴリー3ほどではない飛行禁止空域・方法による飛行(レベル2,3)は総じてカテゴリー2に区分されます。2Aと2Bの違いは、法律上必要な書類の種類が異なるだけです。
「特定飛行のうち、無人航空機の飛行経路下において立入管理措置を講じたうえで行う飛行。(=第三者の上空を飛行しない)」
カテゴリー2A(従来の方法) ・・・ これまでどおり許可・承認書をを携行しての飛行
カテゴリー2B(新しい方法) ・・・ 許可・承認書の代わりに第二種操縦者技能証明と型式・機体認証を受けた機体を使っての飛行
カテゴリー1
従来通り制限なしです。許可書もライセンスも必要ありません。
「特定飛行に該当しない飛行。
航空法上の飛行許可・承認手続きは不要。」
続いてレベル分けについては、
レベル1 目視内での操縦(手動)飛行
レベル2 目視内で自動・自律飛行
レベル3 目視外で手動・自動飛行(無人地帯、立入り管理下での有人地帯)
レベル4 目視外で手動・自動飛行(補助者なしでの有人地帯) ← 今まで禁止
補足 レベル1~4なのか、カテゴリーⅠ~Ⅲなのか
カテゴリー3=レベル4飛行です。その他は、区分の仕方が違うのでどっちがどっちに該当するとはいえません。
レベル分けは飛行方法、カテゴリー分けは必要書類の違いです。
新たに追加されたドローン飛行の制度
以下「01機体認証」「02無人航空機操縦者証明」「03運航ルール」の3つのルールが適用されます。
「03運航ルール」だけが全パイロットに適用です。
01 機体認証
計4種類の認証があります。
(第一種or第二種)✖(型式or機体)認証
第一種はカテゴリー3用と第二種はカテゴリー2B用です。型式認証は主にメーカーが依頼して行う設計・耐空性等の点検、機体認証はユーザーが依頼して行う機体点検(車検のようなイメージ)です。
これら「認証」は、今年6月の航空法改正「機体登録(JU番号)」とは別ものです。
02 無人航空機操縦者技能証明
操縦者技能証明、いわゆる国家ライセンスです。レベル4飛行(カテゴリー3)でのみ必須です。レベル1,2,3飛行のうちレベル2Bの場合も必須です。
注意しなければならないこととして、カテゴリー3・2B(操縦者技能証明を使って)飛行するときには01の型式・機体認証を受けたドローンを使わなければなりません。
03 運航ルール
この項目のみ、すべての飛行カテゴリーで遵守しなければなりません。
飛行日誌をつけていなかった方はこれを機につけましょう。
まとめ 免許は必要?
配送等一部の人を除き、ほとんどの方には必要ありません。
国の目標はあくまでこれまで不可能とされていた「レベル4飛行の実現」
その他の飛行を行う人にまで新制度は強要されていないのです。
ゆくゆくは完全移行されると思いますが、現在は国家ライセンス義務化(自動車運転と同じく免許化)への移行期間の始まりと捉えることができます。
・レベル4飛行(目視外、補助者なし、有人地帯飛行)
物流等の業務に従事される方は、既存の許可・承認ではこれら業務ができないため第一種操縦者技能証明(レベル4)が必須です。
・レベル2、3飛行(レベル4以外の禁止空域・方法による飛行。説明の簡略のためまとめて記載)
DID、目視外で手動、目視内で自動等の飛行禁止空域・方法による飛行は、引き続き「許可・承認書」包括申請(1年)で申請することができます。対応する免許(第二種操縦者技能証明)も新設されましたが、なくて大丈夫です。理由は、
①「既存の許可・承認制度(1年)」でこれまでどおり飛行が可能であること
② 第二種操縦者技能証明と型式・機体認証とセットでなければならず、特に型式認証申請のハードルがやや高い。2022年12月現在、型式認証されたドローンは0。かつ今後中国メーカーDJI等が型式認証申請するか疑問。(日本の研究機関に設計データを提出するのか?)
③ 技能証明、型式・機体認証それぞれでけっこうな費用が掛かること。特に型式認証申請は数十万円必要。
・レベル1飛行(航空法の制限内での飛行)
これまでどおり何も必要ありません。